■これまでで一番感動したことは何ですか?───

高校を出た後、大阪あべの辻調理師専門学校を卒業して、大阪・難波の都ホテルのレストランに就職しました。しばらくして、大阪で初めてフランス人シェフを1年間招いての高級フランス料理店がオープンするということで、そのトップレストランの料理人として抜擢されたんです。そこでフランス人のシェフが来て、その料理を見たときはやっぱりすごいと思いましたね。それで、そのシェフが1年後にパリに帰るときに、自分も一緒に連れて行ってくれと頼みました。給料は0と言われてちょっと悩んだけど。車を買おうと思って貯めていた200万円を泣く泣く持って行きました。
それでフランスへ行って、その料理の素晴しさに感動したんですね。例えば、ウサギとか冷凍のものしか見たことがなかったけど、向こうは毛がついたものがどーんと丸ごと入ってくる。本当の生のものをどうさばいてどう美味しく調理するかという感じで。他にも、野菜の美味しさ、フォアグラの美味しさ、そういうのに出会ったときが一番感動したのかな。人生のうちで起点となった出来事でしたね。それから僕は、この道で頑張ろうと思ったんです。
それまでは、料理長になろうなんて思ってもいなかった。いいかげんというか、ただ生活できればいいわと思っていたのが、それをきっかけに、自分はどうしたら料理長になれるか、お店をやれるかっていっぱい夢を抱きますよね。今は48歳でこうやって語れるけど、20年前に、小さい店ならやれるかもしれないけど、まさかこうやって150席のレストランを経営して、金沢駅にもう1店舗プロデュースしてなんて、夢にも思わないじゃないですか。そういう志を抱いたとしても、実際になれるのは、ほんの一握り、何万分の一ですよね。僕は調理師学校を出て、そこでは2千人卒業したけど、ほとんど料理人なんかやっている人はいないような時代ですもんね。ましてや給料も少ないし、大変だし。
そんな中で、こうやって改装してまた店を大きくできるのは本当に幸せなこと。そのきっかけがなければ、たぶん今はなかったかもしれない。フランスに行って、あらゆる文化・生活を見て、すごくいいなと思って。なんとかこの世界でやっていくにはどうしたらいいかと考えたから。シティモンドで10年以上やれたのも、その時の頑張りがあったからかもしれないですね。
プロフィール
田中義昭(たなかよしあき)さん
レストラン『MEGU』オーナーシェフ

1958年生まれ。石川県金沢市出身。 大阪あべの辻調理師専門学校を卒業。31歳の時に金沢シティモンドホテルの総料理長に就任し、13年間総料理長を務める。2004年3月にオープンさせた、金沢市窪のレストラン『MEGU』のオーナーシェフとして現在活躍中。JR金沢駅構内の直営店『デリカ&カフェ』もプロデュースする。今年3月には、オープン3周年を迎える『MEGU』を、全150席となる県内最大規模のレストランへとリニューアルさせる。
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更新日:2007年3月6日(火)


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